岩瀬 大

膝外来
岩瀬 大
Dai Iwase

専門分野

膝関節外科、スポーツ整形外科、小児整形外科

紹介

2003年に北里大学医学部を卒業後、同大学整形外科に入局し、膝関節疾患および小児整形外科を中心に臨床経験を積む。
現在は主に同種骨移植を併用した人工膝関節置換術、同種腱を用いた靭帯再建術、脳性麻痺に対する動作解析などを中心に臨床、基礎研究を行っている。

略歴

2003年 北里大学医学部卒業
     同大学整形外科入局
2009年 横浜総合病院 整形外科
2011年 北里大学医学部整形外科学 助教
2020年 北里大学医学部整形外科学 診療講師
※2010年〜2017年の間は南多摩整形外科病院の非常勤医師として脳性麻痺治療にも従事

資格・役職

  • 整形外科専門医
  • 日本体育協会スポーツドクター
  • 日本整形外科リウマチ専門医
  • 日本整形外科リハビリテーション専門医
  • 日本人工関節学会認定医

 

膝関節疾患について

膝関節疾患を担当している岩瀬大と申します。当院の特徴である足部病変にも注意しながら、膝関節の治療にあたらせてもらっております。何か心配なことあればお気軽に受診していただければ幸いです。

膝関節には変形性膝関節症、関節リウマチ、膝骨壊死症、半月板損傷、靭帯損傷など多くの疾患があります。
治療としては大きく分けて保存治療と手術治療が存在します。

保存治療

当院では可能な限りそれぞれの患者様にあった治療を目指しております。
保存治療といっても鎮痛剤の内服をただ継続するだけでなく、リハビリテーション部と密に相談をとり、患者様個々にあったリハビリプランを提供させてもらっております。それ以外にも関節注射や装具療法なども試みます。

特に当院では足底板(インソール)の作成などに関しては膝関節だけでなく、下肢全体をしっかりと評価し作成にあたっております。
それでも疼痛の改善が乏しく手術の必要と判断した患者様に対しては以下の手術などを行っております。

手術治療

人工膝関節置換術

変形性膝関節症、関節リウマチ、膝骨壊死症などの患者様に対し保存療法を行っても痛みが軽減しない場合や、症状がかなり進行している場合には人工関節置換術を検討します。
関節の内側および外側の両方が傷んでいるときは人工膝関節置換術 (TKA: Total Knee Arthroplasty)を、内側または外側のみの損傷の場合は単顆型人工膝関節置換術 (UKA: Unicompartmental Knee Arthroplasty)を検討します。

TKAについて

内側、外側の傷んだ膝関節表面を切除し、金属(チタン合金やコバルトクロム合金)およびポリエチレンの人工物で置換します。
術前にX線検査、CT検査を行い、1mm、1度単位でしっかりと術前のプランニングを行うことにより、O脚やX脚変形であった脚がまっすぐになります。

UKAについて

内側型の変形性膝関節症や膝骨壊死症の患者様が対象となることが多いです。
TKAと違い、片側のみの置換をすることにより、手術後の腫脹や疼痛も少なくすみます。

骨切り術

高位脛骨骨切り術は、脛骨(すねの骨)を膝関節に近い部位で骨切りし、O脚変形であった足をややX脚にします。それにより荷重軸が外側に移動し疼痛改善が行える手術です。内側型の変形性膝関節症や膝骨壊死症が対象となります。したがって単顆型人工関節置換術(UKA)の適応と重複することがあります。
しかし骨切り術は一般的に術後のリハビリがUKAと比べ長期に及びます。一方、骨癒合が得られれば疼痛に合わせ術前と同レベルの運動を許可することが可能であります。一般的には活動性が高く、UKAと比べやや若い患者様に適応になることが多いです。

通常は膝蓋骨(お皿)に変形があると基本的には骨切り術の適応とはなりにくいですが、当院で行っている方法は膝蓋腱の下での骨切りを行うことにより、若干の膝蓋骨の変形がある患者様に対しても行うことが可能です。

左図:術前は内側関節の隙間が消失していたが、術後には下肢が外側に向き、関節の隙間が開いた。
右図:荷重軸(黄色い点線)が膝関節の内側を通過していたが、術後にはやや外側を通過している。

骨関節鏡手術

当院では関節鏡手術にも力を入れております。主な対象疾患は半月板損傷や靭帯損傷(特に前十字靭帯損傷)です。

半月板損傷

半月板は主に関節に加わる体重の負荷を分散させるクッションの役割と、関節を安定させ関節表面の軟骨を保護する重要な役割があります。
その半月板に損傷が起きると、痛みや引っ掛かりなどの原因になります。また、半月板の機能が損なれたまま放置してしまうと、軟骨にかかる負担が増大し変形性関節症が起こる危険性が増えます。そのため適切な治療が必要と考えます。

しかし半月板損傷があっても、すべてが手術適応となるわけではありません。一般的には、まず保存療法が行われますが疼痛が改善しない場合は関節鏡手術に適応となります。
早期に治療が必要な状態としては、強い疼痛に加えてロッキング(半月板が関節内で挟まってしまい、膝を伸ばしきれなくなってしまう状態)を認める場合です。

半月板切除:可能な限り温存を試みますが、半月板の状態によっては困難な場合が存在します。その場合は可能な限り最小限の範囲での切除を行います。

左図:半月板後節の変性断裂(ばさついた断裂)。
中央図:鉗子を用いて最小限の切除を行った。
右図:断裂していた部分のみ切除されている。

 

半月板縫合:損傷した半月板を縫合することにより修復を行います。

左図:半月板の後節(後ろの方)に断裂(赤矢印)が疑われた。
中央図:フックで確認すると断裂が確認された。
右図:半月板を縫合することにより断裂部の安定が得られた。

前十字靭帯損傷

膝靭帯損傷で最も多く手術が必要になる疾患は前十字靭帯(ACL)損傷です。
以前は保存療法で対処することもありましたが、膝の動揺性を残したままでは軟骨の変性や半月板損傷を起こすことが多いため、手術治療が一般的です。
※一方、それ以外の膝周囲の靭帯(内側側副靭帯や後十字靭帯など)などは症状によりますが、まずは保存療法を行うことが多いです。

関節鏡視下前十字靭帯再建術:当院で行っている方法は半腱様筋腱(ときに薄筋腱)を再建靭帯として用いた再建術です。
また断裂した遺残靭帯を残すことが可能な場合は可能な限り温存し、靭帯の再建を行っています。

ACLは残存しているように見えたが(左図)、フックで確認すると緊張はほとんど無く(右図)、断裂の診断となった。

可能な限り遺残靱帯を温存し(左図)、ACLの再建を行った(右図)。

膝硬性装具を3ヶ月程度装着して頂くため、術前もしくは術後に装具を購入していただくこととなります。術後は退院後もしっかりとリハビリを行っていただき、術後8~10ヶ月を目安にスポーツの完全復帰を目指します。
また、術後1年前後で脛骨(すねの骨)に挿入した金属の抜釘を行います。理由としては同部位の圧痛の改善や、同時に関節内を最終観察し問題ないかが確認できることが大きな利点です。

術後のリハビリについて

以下に簡単なリハビリプラン、および入院期間を記載しますので参考にしてください(もちろん手術時の状態に応じて変更することがあります)。

TKA

  • 術後2日目より全荷重での歩行訓練を開始します。
  • 2~3週間程度の入院(当院は回復期病棟も有しているため、より長期入院も可能です)

UKA

  • 術後2日目より全荷重での歩行訓練を開始します。
  • 2週間程度の入院(TKAよりやや早く退院することが可能です)

骨切り術

  • 体重の1/3程度の荷重訓練から開始し、1週ごとに荷重を増やしていきます。(全荷重の時期はレントゲンで評価しながら指示します)
  • 2/3荷重になるまでは2本杖が必要であるため、2/3荷重が許可できる3週前後での退院が多いです。(しかしご本人の希望があればもっと早期に退院も許可しております)

関節鏡視下半月板手術

半月板切除術

  • 術後の疼痛に合わせ、可及的に荷重および曲げ伸ばしの訓練を行うことが可能です。

半月板縫合術

  • 損傷していた半月板の箇所や程度に応じてリハビリプランが異なるため、基本的には術後に明確な指示を出させていただきます。
    しかし一般的には部分荷重から開始し徐々に荷重を増やしていくため切除術と比べ、リハビリが長くなることがあります。

関節鏡視下前十字靭帯再建術

  • 体重の1/3程度の荷重訓練から開始し、1週ごとに荷重を増やしていきます。術後4週目で全荷重を許可しております。
  • 半月板損傷を認めた場合は、半月板の状態に応じリハビリプランが変わることがあります。
  • 退院時期に関しては患者様の都合に合わせることが可能です。
    しかし術後のリハビリが非常重要な疾患であり、退院後も定期的にリハビリ通院が必要となることが多いです。